昨日の続き

目が覚めた時、私は、病院のベッドの上にいたのだが、私の顔を覗き込むひとりのおばあちゃんがいました。
最初、どういった病院かが分からなかった。
外は、雨がしとしとと降っていて、疲れた体を癒してくれたのだが。

2日ほど閉鎖病棟にいて、病状が良いということで、解放病棟に移された。
最初に友達になった女の人は、私と同じ学校出身者であったが、父親が癌におかされ、顔の半分がなかったことなどのショックから入院している
と聞いた。
とても親切な人で、売店洗顔を買うことなど、丁寧に教えてくれた。
あるとても明るい女の人がやってきて、いろいろ聞いてくる。
30年ぐらいの入院の人らしい。
また、ある年配の女性は、英語の勉強をしていたが、ゴールデンウィークまで、いるかと聞かれた。
ゴールデンウィークまでなんてとんでもない。すぐに帰るつもりだと内心思っていた。
とても親切で、私が、被ばくしたことを言ったら、大学病院に手紙を出してくれた。

自分が被ばくしたことのショックがあって、トイレに入っていた際、生理の血を血便と勘違いして、大騒ぎをした。
主治医が、近くの内科の病院に紹介状を出してくれた。
そこで、母親と一緒に内科の受診をした。
私は、いてもたってもいられないく、かけずりまわして、意識がもうろうとする中、
病院の看護士さんに手を握ってもらいながら、意識がなくなるのを避けた。
なんとか、救急車が過ぎて、自分の番が巡ってきたのだが、
医者に自分が使っていた、X線解析装置の説明書を提示したところ、
「こんなのに被ばくしたら、大変なことになる。被ばくという妄想だ。」
といって、病院に返された。
病院に帰りついたら、看護師さんと医者が待ち構えていて、小さな部屋に入れられそうなった。それで、抵抗しようとしたら、
今度は、鉄格子の部屋にほうり投げられた。
私は、何が、起こったのかが、分からないまま、鉄格子の部屋の中に立ち尽くしていた。

あんなに抵抗していたのが、嘘みたいに無気力になった。
私は、鉄格子の中で、被ばく時間のことを計算していた。開けていた時間は10秒ぐらいだから、
1秒間に1SVであるなら、10シーベルト以内。
暗い鉄格子の中、隣から女のコの声が聞こえた。閉鎖病棟で一緒だった女の子だった。
一人かと思うと心細かったが、一緒に同じような環境の女のこがいると思うだけで、心強くなった。
そのおんなのコは、ご飯を食べていないらしく、点滴を打つといって、部屋から出た。
鉄格子の部屋の中、時間が長く感じられた。
ご飯の時間になった際、まるで、自分が獣の檻の中にいるかのように、
下のご飯だけが通るような空間から、ご飯が出てくるのである。こんな世界があるなんて、夢にも思わなっかた。
こういう、刑務所のような場所がることを、全く知らなかった。
手がヒリヒリしていたので、鉄格子の鉄筋で手を冷やした。

部屋は、トイレとマットレスと毛布のみ、トイレの際、用を足すトイレットペーパーは、看護師さんが準備する。
お茶の時間に紙コップに入ったお茶が渡される。人と接するのは、このお茶とトイレットペーパーと歯磨きの時と、医者の診察の時だけである。

さみしさのあまり、看護師さんを何度も呼ぶ。
外に出たくて、自殺めいたことも沢山した。手首を切りつけたり。
あの空間にいるだけというのが、こんなにきついものかと思った。